問題17　行政法・訴えの利益の消滅　正解「2」

1【妥当でない】（最判昭40．4．28）＜初出題＞

「あるか否かにかかわらず、消滅する」が×。

「ある場合、消滅しない」にすると〇。

免職された公務員（郵便局の職員）が、免職処分の取消訴訟の途中で公職（市議会議員）に立候補して、法律上公務員（郵便局の職員）を辞めたとみなされる場合でも、訴えの利益は認められる、という判例があるので、給料請求権などが回復する可能性がある場合、訴えの利益は消滅しません。

2【妥当】（最判昭57．9．9）＜R2、問17、肢ア＞

選択肢の通り。

代替施設（例：ダム）の設置で、洪水や水不足の危険がなくなって、保安林を存続させる必要がなくなった場合、保安林の指定解除処分に関する取消訴訟の訴えの利益は失われる、という判例があるので、選択肢の場合、訴えの利益は消滅します。

3【妥当でない】（最判平14．2．28）＜R2、問25、肢3＞

「場合には、消滅する」が×。

「場合、消滅しない」にすると〇。

公文書の非公開決定の取消訴訟で、その公文書が書証（証拠）として提出された場合でも、訴えの利益は消滅しない、という判例があります。

4【妥当でない】（最判昭55．11．25）＜初出題＞

「免許停止期間が経過した場合であっても～場合には、消滅しない」が×。

「免許停止期間が経過して、かつ、免停処分の日から無違反・無処分で1年が過ぎた場合～場合であっても、消滅する」にすると〇。

車の運転免許の停止処分（免停処分）を受けた人は、免停期間が過ぎて、かつ、免停処分の日から無違反・無処分で1年が過ぎた場合、免停処分の取消しで回復する法律上の利益はない、という判例があるので、取消判決で原告の名誉などが回復する可能性があっても、訴えの利益は消滅します。

5【妥当でない】（最判平21．11．26）＜H26、問18、肢2＞

「場合であっても～廃止されない限り、消滅しない」が×。

「場合～廃止されなくても、消滅する」にすると〇。

現時点（判決が出た時点）では、保育の実施期間が満了しているから、市立保育所廃止条例の制定行為の取消しを求める訴えの利益は失われた、という判例があるので、原告の子どもが保育所に通う年齢でなくなったら、訴えの利益は消滅します。