問題29　民法・物権的請求権　正解「5」

1【妥当】（最判平6．2．8）＜H30、問29、肢オ＞

選択肢の通り。

Ａが所有する甲土地にある乙建物を取得して、自分の意思で登記をしたＢは、乙建物をＣに譲渡したとしても、引き続き登記の名義がＢになっている限り、Ａに対して、乙建物の所有権がないことを主張して、建物の撤去と土地を明け渡す義務を免れることはできない、という判例があります。

2【妥当】（最判昭35．6．17） ＜H29、問31、肢1＞

選択肢の通り。

土地の所有権に基づく物権的請求権の訴訟では、実際に家屋を所有することで、実際にその土地を占拠して土地の所有権を侵害している人を被告にしなければいけない、という判例があるので、Ｅは、丁建物をＦに譲渡して、登記もないので、Ｅは、Ｄに対して、丁建物の収去・丙土地の明け渡しの義務はありません。（これらの義務はＦにあります）

3【妥当】（最判昭57．3．12）＜初出題＞

選択肢の通り。

工場抵当法により工場の土地又は建物とともに抵当権の目的とされた動産が、備え付けられた工場（建物）から抵当権者の同意がないのに（無断で）搬出された場合、第三者が即時取得しない限り、抵当権者は、搬出された目的動産をもとの備付場所である工場に戻すことを請求できる、という判例があります。

4【妥当】（最判平17．3．10）＜初出題＞

選択肢の通り。

抵当不動産の所有者（設定者）から占有権原の設定（例：賃借権）を受けてその不動産を占有する人（賃借人）でも、抵当権設定登記後に占有権原の設定を受けて、その設定に抵当権の実行としての競売手続を妨害する目的があって、賃借人が占有することで抵当不動産の交換価値の実現が妨げられて抵当権者の優先弁済請求権の行使が困難となるような状態（競売しても売れない状態）がある場合、抵当権者は、占有者（賃借人）に対して、抵当権に基づく妨害排除請求をすることができる、という判例があります。

5【妥当でない】（最判平21．3．10）＜初出題＞

「前後を問わず」が×。

「後は」にすると〇。

所有権留保が付いた動産（自動車ローンのある車）が、第三者の土地に置かれていて、土地所有権を侵害している場合、留保所有権者（ローン会社）は、被担保債権（ローン）の弁済期（支払期限）になる前は、特段の事情がない限り、動産の撤去義務はないけど、弁済期が過ぎた後は、動産の撤去義務がある、という判例があります。