問題44　行政法・宝塚市パチンコ条例事件

正解「行政権の主体という立場でされ、法律上の争訟ではないという理由で、却下判決がなされる。」（42文字）

（最判平14．7．9：宝塚市パチンコ条例事件）からの出題。＜H27、問題8＞

問題に「①どのような立場で提起したものであるとされ」「②どのような理由で」「③どのような判決がなされる」とあるので、それぞれ書いてつなげればＯＫ。

今回の裁判は、Ａ市が原告、Ｙが被告で、請求内容は「パチンコ店の建設中止」です。

裁判をした理由は、Ｙが、条例に基づくＡ市長の建設中止命令を無視して建設を続けたからです。

条例には罰則の条文がなかったので、建設中止命令を無視されると、Ａ市は、次の手が打てないという状況でした。

困ったＡ市が、裁判所に助けを求めましたが、裁判所の回答は、「国や地方公共団体が、「①行政権の主体」として、国民に対して行政上の義務の履行を求める訴訟は、裁判所法3条1項の「②法律上の争訟に該当しない」し、このような裁判を認める法令もないから「③不適法」」というものでした。

「Ａ市が所有する土地がＹに不法占拠されたから、何とかしてくれ」のような「財産権」についての裁判だったら、裁判所も対応しますが、建設中止命令は「行政権」についての裁判なので、裁判所は巻き込まないでね、ということです。

まとめると、「行政権の主体という立場でされ、法律上の争訟ではないという理由で、却下判決がなされる。」となります。