問題14　行政法・裁決と取消訴訟　正解「4」

1【妥当でない】

「それ以外の者は～提起することはできない」が×。

「それ以外の者も、法律上の利益があれば～提起できる」にすると○。

「法律上の利益」があれば、審査請求人以外の第三者でも取消訴訟できます。

【参考】行政事件訴訟法9条1項

～取消訴訟～は、当該処分又は裁決の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者～に限り、提起することができる。 

2【妥当でない】

「求めることができる」が×。

「求めることはできない」にすると○。

元の処分が違法なことを理由に、裁決の取消訴訟はできません。（原処分主義）

ただ、原処分主義は「元の処分の取消訴訟ができる」ことが前提ですが、この選択肢にはそのことが書いてないので、問題としての出来はイマイチです。

【参考】行政事件訴訟法10条2項

処分の取消しの訴えとその処分についての審査請求を棄却した裁決の取消しの訴えとを提起することができる場合には、裁決の取消しの訴えにおいては、処分の違法を理由として取消しを求めることができない。 

3【妥当でない】（最判昭37．12．26）

「裁決が取り消されることはない」が×。

「裁決が取り消されることはある」にすると○。

「理由が書いてないから、この裁決は取り消します」となった判例があります。

4【妥当】（最判昭36．7．21）

選択肢の通り。

「適法な審査請求が間違って却下された」というのは、行政事件訴訟法8条2項3号の「正当な理由」になるので、審査請求の裁決がなくても取消訴訟できる、という判例があります。

5【妥当でない】

「処分を知った日の翌日」が×。

「裁決を知った日の翌日」にすると○。

「審査請求の手続の途中でも」も×。

×の部分を削除すると〇。

審査請求をすると、取消訴訟の起算点は「裁決を知った日」になります。

その場合、起算点は審査請求が終わった後になるので、選択肢にある「審査請求の手続の途中」という状況にはならないため、その部分を削除する方が自然な文章になります。

行政事件訴訟法の条文には「知った日」とありますが、初日不算入の原則により、実際は「知った日の翌日」から計算します。

【参考】行政事件訴訟法14条3項

～審査請求があったときは、～これに対する裁決があったことを知った日から6ヵ月を経過したとき又は当該裁決の日から1年を経過したときは、提起することができない。～