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最判平8．1．23
医薬品の使用上の注意事項と医師の注意義務
＜判事事項＞（争点）
医薬品の添付文書（能書）に記載された使用上の注意事項と医師の注意義務。
※能書（のうがき）：薬の効用などを書いたもの
【参考】判事事項（原文）
医薬品の添付文書（能書）に記載された使用上の注意事項と医師の注意義務
＜裁判要旨＞（結論）
医師が、薬を使う際に、薬の添付文書に記載された使用上の注意事項に従わず、それが原因で医療事故が発生した場合、注意事項に従わなかったことについて特段の合理的理由（納得できる理由）がない限り、医師の過失が推定される。
【参考】裁判要旨（原文）
医師が医薬品を使用するに当たって医薬品の添付文書（能書）に記載された使用上の注意事項に従わず、それによって医療事故が発生した場合には、これに従わなかったことにつき特段の合理的理由がない限り、当該医師の過失が推定される。
＜判決理由＞（理由）
薬の添付文書の記載事項は、その薬の危険性（例：副作用）について最も良く知っている製造業者や輸入販売業者が、薬を使われる患者の安全を確保するために、薬を使う医師に対して必要な情報を提供する目的で記載するものだから（後略）
【参考】判決理由（原文）
医薬品の添付文書（能書）の記載事項は、当該医薬品の危険性（副作用等）につき最も高度な情報を有している製造業者又は輸入販売業者が、投与を受ける患者の安全を確保するために、これを使用する医師等に対して必要な情報を提供する目的で記載するものであるから（後略）
＜＋α＞
臨床医学の実践における医療水準（実際に患者さんの診断・治療を行う場合の医療水準）は、全国一律に絶対的な基準として考えるべきものではなく、診療を担当した医師の専門分野、所属する診療機関（例：病院）の性格、その医師がいる地域の医療環境の特性等の色々な事情を考慮して決められるべきものだけど、医療水準は、医師の注意義務の基準となるものだから、平均的な医師が実際に行っている医療慣行とは必ず一致するものではなく、医師が医療慣行に従った医療行為を行ったからといって、医療水準に従った注意義務を果たしたと直ちにいうことはできない。
医療慣行：医療現場で一般的に行われている医療行為
医療慣行の例：熱が出たら抗生剤を投与する
【参考】＋α（原文）
臨床医学の実践における医療水準は、全国一律に絶対的な基準として考えるべきものではなく、診療に当たった当該医師の専門分野、所属する診療機関の性格、その所在する地域の医療環境の特性等の諸般の事情を考慮して決せられるべきものであるが、医療水準は、医師の注意義務の基準（規範）となるものであるから、平均的医師が現に行っている医療慣行とは必ずしも一致するものではなく、医師が医療慣行に従った医療行為を行ったからといって、医療水準に従った注意義務を尽くしたと直ちにいうことはできない。
＜過去問の出題履歴＞
令和3年度、問題34、選択肢5
令和2年度、問題34、選択肢1・2
＜裁判所ホームページ＞（外部リンク）
「最判平8．1．23」の裁判例情報
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