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最判平22.6.3

取消訴訟と国家賠償請求

<判事事項>(争点)

固定資産(倉庫)の価値を過大に決定されたことで損害を受けた納税者が、地方税法に基づく審査の申出と取消訴訟の手続をしていない場合に、いきなり国家賠償請求はできるのか、できないのか。

【参考】判事事項(原文)
 固定資産の価格を過大に決定されたことによって損害を被った納税者が地方税法432条1項本文に基づく審査の申出及び同法434条1項に基づく取消訴訟等の手続を経ていない場合における国家賠償請求の許否

<裁判要旨>(結論)

公務員が、納税者に対する職務上の法的義務に違反して、固定資産の価値を過大に決定した場合、損害を受けた納税者は、地方税法に基づく審査の申出と取消訴訟の手続をしないで、いきなり国家賠償請求をすることができる。

【参考】裁判要旨(原文)
 公務員が納税者に対する職務上の法的義務に違背して固定資産の価格を過大に決定したときは,これによって損害を被った当該納税者は,地方税法432条1項本文に基づく審査の申出及び同法434条1項に基づく取消訴訟等の手続を経るまでもなく,国家賠償請求を行い得る。

<判決理由>(理由)

行政処分が違法であることを理由に国家賠償請求をする場合は、事前にその行政処分について取消訴訟又は無効確認訴訟の判決を受ける必要はない。このことは、その行政処分が金銭の納付を目的としていて、その違法を理由とする国家賠償請求が認容されたら、結果的に行政処分を取り消した場合と同じ効果になるという場合でも変わらないから。

【参考】判決理由(原文) 
 行政処分が違法であることを理由として国家賠償請求をするについては,あらかじめ当該行政処分について取消し又は無効確認の判決を得なければならないものではない(最高裁昭和35年(オ)第248号同36年4月21日第二小法廷判決・民集15巻4号850頁参照)。このことは,当該行政処分が金銭を納付させることを直接の目的としており,その違法を理由とする国家賠償請求を認容したとすれば,結果的に当該行政処分を取り消した場合と同様の経済的効果が得られるという場合であっても異ならないというべきである。

<過去問の出題履歴>

平成29年度、問題43

平成28年度、問題18、選択肢1

平成25年度、問題20、選択肢オ

<裁判所ホームページ>(外部リンク)

「最判平22.6.3」の裁判例情報

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