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最判昭57.5.27

採用内定の取消しと抗告訴訟

<判事事項>(争点)

地方公務員の採用内定の取り消しが、抗告訴訟の対象となる処分に該当しないとされた事例。

【参考】判事事項(原文)
 地方公務員としての採用内定の取消しが抗告訴訟の対象となる処分にあたらないとされた事例

<裁判要旨>(結論)

地方公務員の職員の採用内定の通知は法律上の根拠に基づくものではなく、事実行為にすぎないので、採用内定の取り消しは、抗告訴訟の対象となる処分に該当しない。

【参考】裁判要旨(原文)
 地方公務員である職員としての採用内定の通知がされた場合において、職員の採用は内規によつて辞令を交付することにより行うこととされ、右採用内定の通知は法令上の根拠に基づくものではないなど、判示の事実関係があるときは、右採用内定の通知は事実上の行為にすぎず、右内定の取消しは、抗告訴訟の対象となる処分にあたらない。

<判決理由>(理由)

東京都が、正当な理由なく採用内定を取り消しても、内定通知を信頼して、東京都職員として採用されることを期待して他の就職活動はしなかったなど、東京都に就職するための準備をした人に対して損害賠償責任を負うことがあるのは別として、採用内定の取消し自体は、採用内定を受けた人の法律上の地位や権利関係に影響を与えるものではないから、行政事件訴訟法3条2項の「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為」に該当せず、採用内定者は取消訴訟をすることはできないから。

【参考】判決理由(原文) 
 被上告人東京都において正当な理由がなく右採用内定を取り消しても、これによつて、右内定通知を信頼し、東京都職員として採用されることを期待して他の就職の機会を放棄するなど、東京都に就職するための準備を行つた者に対し損害賠償の責任を負うことがあるのは格別、右採用内定の取消し自体は、採用内定を受けた者の法律上の地位ないし権利関係に影響を及ぼすものではないから、行政事件訴訟法3条2項にいう「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為」に該当するものということができず、右採用内定者においてその取消しを訴求することはできないというべきである。

<過去問の出題履歴>

平成25年度、問題9、選択肢4

<裁判所ホームページ>(外部リンク)

「最判昭57.5.27」の裁判例情報

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