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最大判昭56.12.16
営造物(空港)の利用が一定の限度を超えるため、利用者(飛行機の乗客)や第三者(空港周辺の住民)が損害を受ける危険性がある場合、国家賠償法2条1項の「営造物の設置又は管理」に瑕疵があるといえるのか。
【参考】判事事項(原文)
二 営造物の利用の態様及び程度が一定の限度を超えるために利用者又は第三者に対して危害を生ぜしめる危険性がある場合と国家賠償法2条1項にいう営造物の設置又は管理の瑕疵
施設(空港)自体に危険性がなくても、一定の限度を超える施設の利用(多数の飛行機の離発着)によって、利用者や第三者が損害(騒音被害)を受ける危険性がある場合には、その営造物(空港)には国家賠償法2条1項の「設置又は管理の瑕疵」がある。
【参考】裁判要旨(原文)
施設に危害を生ぜしめる危険性がなくても、これを超える利用によつて利用者又は第三者に対して危害を生ぜしめる危険性がある状況にある場合には、そのような利用に供される限りにおいて右営造物につき国家賠償法2条1項にいう設置又は管理の瑕疵があるものというべきである。
国家賠償法2条1項の「営造物の設置又は管理の瑕疵」は、営造物に必要な安全性がない状態をいうけれど、安全性がない状態には、その営造物自体に欠陥や不備がある場合だけでなく、営造物の利用に関連して損害が起きる危険性がある場合を含み、また、その損害は、営造物の利用者だけでなく、利用者以外の第三者に対する損害も含むから。
【参考】判決理由(原文)
国家賠償法2条1項の営造物の設置又は管理の瑕疵とは、営造物が有すべき安全性を欠いている状態をいうのであるが、そこにいう安全性の欠如、すなわち、他人に危害を及ぼす危険性のある状態とは、ひとり当該営造物を構成する物的施設自体に存する物理的、外形的な欠陥ないし不備によつて一般的に右のような危害を生ぜしめる危険性かある場合のみならず、その営造物が供用目的に沿つて利用されることとの関連において危害を生ぜしめる危険性がある場合をも含み、また、その危害は、営造物の利用者に対してのみならず、利用者以外の第三者に対するそれをも含むものと解すべきである。
令和4年度、問題21、選択肢エ
平成23年度、問題24、選択肢5
平成21年度、問題19、選択肢5
「最大判昭56.12.16」の裁判例情報
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