問題20　行政法・道路をめぐる国家賠償の判例　正解「5」

1【妥当でない】（最判昭45．8．20）＜R1、問21＞

「場合には～免れ得る」が×。

「場合でも～免れることはできない」にすると〇。

道路に防護柵を設置する場合、多額の費用がかかって予算を立てるのが大変でも、道路の管理の瑕疵で起きた損害に対する賠償責任を免れるわけではない、という判例があります。

2【妥当でない】（最判昭50．6．26）＜H22、問20、肢5＞

「いわざるをえず～困難であったとしても～瑕疵があった」が×。

「いわざるをえないが～困難であった場合～瑕疵がなかった」にすると〇。

工事標識板などが道路に倒れたまま放置されて、道路の安全性に欠如があったけど、それは事故の直前に他の車が起こしたもので、道路管理者が倒れた工事標識板などを元に戻すのは時間的に不可能だった場合、道路管理に瑕疵はなかった、という判例があります。

3【妥当でない】（最判昭53．7．4）＜H22、問20、肢4＞

「であったとしても～あったと評価され～責任を負う」が×。

「であった場合～なかったと評価され～責任を負わない」にすると〇。

防護柵（ガードレール）は、通行時の転落防止という目的についての安全性は十分で、転落事故でケガをしたのが6歳の子どもでも、防護柵に腰をかけるという普通は予測できない行動が原因だから、子どもがした本来の使い方と違う行動の結果起きた事故について、設置管理者として責任を負う理由はない、という判例があります。

4【妥当でない】（最判平7．7．7）＜H30、問25、肢1＞

「判断されたとしても～与えているといえるときには～認定することはできない」が×。

「判断された場合～与えているといえるときでも～認定することができる」にすると〇。

国道の周辺住民が、騒音で被害を受けている場合、住民がある程度の利益（メリット）を受けているとしても、被害が増えると利益も増えるという関係になっていなければ、騒音被害は生活する上で我慢すべき限度を超えているので、道路の設置や管理には瑕疵がある、という判例があるので、道路の供用（使用）の違法性を認定することができます。

5【妥当】（最判平22．3．2）＜初出題＞

選択肢の通り。

自動車が、道路に侵入したキツネ等の小動物と接触して運転者が死傷するような事故が起きる危険性は小さく、金網の柵をすき間なく設置して、コンクリートを敷くという小動物の侵入防止対策が全国的に採用されていたという事情はなく、それには多額の費用がかかることは明らかで、道路に動物注意の標識が設置されていたら、道路に設置・管理の瑕疵があったとはいえない、という判例があります。