最決平12.4.14

賃借人の転貸賃料債権と抵当権者の物上代位権

<判事事項>(争点)

抵当権のついた不動産の賃借人が取得する転貸賃料債権に、抵当権者は物上代位権を行使できるのか、行使できないのか。

【参考】判事事項(原文)
 抵当不動産の賃借人が取得する転貸賃料債権について抵当権者が物上代位権を行使することの可否

<裁判要旨>(結論)

抵当権者は、抵当権のついた不動産の賃借人を、所有者と同視することを相当とする場合を除いて、賃借人が取得する転貸賃料債権に、物上代位権を行使することはできない。

【参考】裁判要旨(原文)
 抵当権者は、抵当不動産の賃借人を所有者と同視することを相当とする場合を除き、右賃借人が取得する転貸賃料債権について物上代位権を行使することができない。

<判決理由>(理由)

所有者は、被担保債権(抵当権で保証された債権)の履行について抵当不動産で責任を負担するのに対して、抵当不動産の賃借人は、このような責任を負担するものではなく、自分の債権を被担保債権の弁済に提供する立場にはないから。

【参考】判決理由(原文) 
 所有者は被担保債権の履行について抵当不動産をもって物的責任を負担するものであるのに対し、抵当不動産の賃借人は、このような責任を負担するものではなく、自己に属する債権を被担保債権の弁済に供されるべき立場にはないからである。

<過去問の出題履歴>

令和6年度、問題30、選択肢5

平成30年度、問題30、選択肢4

平成26年度、問題30、選択肢5

<裁判所ホームページ>(外部リンク)

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