最判昭47.4.20

不動産価格の上昇と履行不能による損害賠償額の計算

<判事事項>(争点)

買主が、自分で使うために買った不動産の価格が、売主が買主に所有権の登記を移す義務が履行不能になった後も上昇している場合に、履行不能による損害賠償額の計算は、どの時点の不動産の価格を基準にするのか。
※ 履行不能の原因は、売主が第三者に同じ不動産を売って、登記を移したから(二重譲渡)

【参考】判事事項(原文)
 買主が自己の使用に供するために買い受けた不動産の価格が売主の所有権移転義務の履行不能後も騰貴を続けている場合と右義務の履行不能による損害賠償額の算定の基準時

<裁判要旨>(結論)

売買契約をした不動産の価格が、売主が買主に所有権の登記を移す義務が履行不能になった後も上昇しているという特別の事情があって、かつ、履行不能になった際に、売主がその特別な事情があることを知っていた、または知ることができた場合は、買主がその不動産を転売して儲けるためではなく、自分で使うために買ったとしても、買主は、売主に、その不動産の価格が上昇した後の「現在の価格」を基準に計算した損害額の賠償を請求できる。

【参考】裁判要旨(原文)
 売買契約の目的物である不動産の価格が売主の所有権移転義務の履行不能後も騰貴を続けているという特別の事情があり、かつ、履行不能の際に売主がそのような特別の事情の存在することを知つていたかまたはこれを知りえた場合には、買主が右不動産を転売して利益を得るためではなくこれを自己の使用に供するために買い受けたものであるときでも、買主は、売主に対し、右不動産の騰貴した現在の価格を基準として算定した損害額の賠償を請求することができる。

<判決理由>(理由)

不動産の買主は、債務不履行(履行不能)がなければ、上昇した価格の不動産を自分のものにできたはずだから、履行不能の結果、買主が受ける損害額は、その不動産の価格が上昇した後の「現在の価格」を基準に計算するのが相当だから。

【参考】判決理由(原文) 
 右不動産の買主は、右のような債務不履行がなければ、騰貴した価格のあるその不動産を現に保有しえたはずであるから、右履行不能の結果右買主の受ける損害額は、その不動産の騰貴した現在の価格を基準として算定するのが相当であるからである。

<過去問の出題履歴>

平成20年度、問題32、選択肢4

<裁判所ホームページ>(外部リンク)

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