問題29　民法・譲渡担保　正解「5」

1【妥当】

選択肢の通り。

構成部分が変動する集合動産でも、種類、所在場所、量の範囲を指定するなどの方法で、目的物の範囲が特定される場合には、ひとつの集合物として、譲渡担保の目的にできる、という判例があります。（最判昭54．2．15）＜H29、問29、肢ウ＞

また、占有改定で占有権を取得した場合、譲渡担保権者は、譲渡担保権の対抗要件を備える、という判例があります。（最判昭62．11．10）＜R1、問29、肢5＞

2【妥当】（最判昭62．11．10）＜R1、問29、肢5＞

選択肢の通り。

譲渡担保権の効力は、その後で集合物の構成部分（倉庫にある在庫の内容）が変わっても、集合物としての同一性が損なわれない限り、新しく構成部分となった動産を含む集合物に及ぶ、という判例があるので、譲渡担保権の効力は乙に及びます。

3【妥当】（最判平18．7．20）＜初出題＞

選択肢の通り。

商品の集合動産譲渡担保契約で、譲渡担保設定者は、目的物の商品を通常の営業の範囲内で第三者に売却する権限を留保している、という判例があるので、譲渡担保権を設定した後でも、Bは、普通の仕事（通常の営業）の範囲内なら甲倉庫内の商品を処分できます（例：売る）。

4【妥当】（最判昭62．11．10）＜初出題＞

選択肢の通り。

動産売買の先取特権がある動産が、譲渡担保権の目的である集合物の構成部分となった場合、債権者は、その動産についても引き渡しを受けたものとして譲渡担保権を主張することができ、先取特権者が先取特権に基づいて動産競売の申立をしたときは、特段の事情のない限り、民法333条の第三取得者に該当するものとして、訴えをもって、動産競売の不許（不許可）を求めることができる、という判例があるので、C（先取特権者）は、丙について先取特権を行使できません。

5【妥当でない】（最判平30．12．7）＜初出題＞

「受けていたときは～当然に主張することができる」が×。

「受けていたとしても～主張することはできない」にすると〇。

売買契約で、目的物の所有権が代金の完済まで売主に留保される旨（所有権留保特約）が定められた場合に、買主が保管する在庫商品に集合動産譲渡担保権の設定を受けた者が、代金が完済されていない商品について、売主に対して譲渡担保権を主張することはできない、という判例があるので、Aは、D（売主）に対して、譲渡担保権を主張することはできません。